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野方雑想・追分閑話

bunga2525.exblog.jp

七十路の峠を踏み越えようとするいま、東京と信州で考えたこと、見たこと、感じたことを思いつくまま徒然に書き綴ってみようか。

平和を語る

 北海道に住む友人が1冊の本を送ってくれた。ノーマ・フィールドの講演録『今、いかにして本気で〈平和〉が語れるか』(北海道宗教者平和協議会、2016年11月、39頁、500円)である。この本はほぼ1年前、北海道宗教者平和協議会が結成50周年を迎えるに当たっての記念講演を収録し加筆したものである。著者はシカゴ大学の名誉教授、日系アメリカ人でバイリンガルである。「あるいは①ひとはなぜ、掛け替えのない、はがない命を守ろうとしないのか、できないのか②「逆さまの全体主義」に抗するために」という長い副題が講演の内容を示唆している。戦争を二度と繰り返さないと思っていても、その危険な情況が迫っていることを意識していながら、平穏な日常から脱して〈平和〉を語ることが難しくなっていると語り始め、「戦後のない」アメリカ社会の現状を、21世紀の戦争と平和について、沖縄、過労死、不登校、憲法9条、福島第一原発事故からの復興、従軍慰安婦問題と報道など多岐にわたり、読者は著者の的確な指摘に改めて〈平和〉を考えることになるのである。39ページのブックレットに盛り込まれた問題の重大性と豊かな言葉、視点の確かさに圧倒される。ぜひ多くの人々に読んでもらいたい本だ。
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by amanita-a-oiwake1 | 2016-12-10 17:29

by Destroyer